医療通訳支援事業

在住外国人医療受診時の通訳支援

日本語を母語としない在住外国人にとって、安心して医療を受けるには、医療通訳の存在が欠かせません。医療通訳機能の役割を果たしているNPO法人への支援事業です。

外国にルーツを持つ人々が安心して暮らすためには医療面での環境整備が不可欠である。にもかかわらず、日本語を十分に話せない外国人にとって、病気やケガや出産という日常的に起こる医療時の体制は十分ではない。日本の医療機関では、言語の問題は患者の自己責任と考える風潮が根強く残っているからである。しかし、微妙な身体状況を伝えたい患者の状況を医師に伝え、医師の言葉をわかりやすく患者の母語に翻訳することは、当人と家族にとっては生活上の最重要事であり、時には生死の関わる問題でもある。
NPO法人多言語センターFACIL(神戸市長田区)」は、2005年から医療通訳事業の確立に取り組んできた。兵庫県内の医療機関に同行通訳を派遣するシステムは、協力医療機関と患者の双方が通訳者の報酬を分担する方式の採用で、軌道に乗った。システムが理解されるにしたがって、利用者は急激に増加し、2019年度のコーディネート業務は年間1,000件ペースにまでなった。

医療機関と患者の橋渡しをするコーディネート業務は、これまでもFACILが負担してきた。個々の患者とその言葉を話す通訳者と専門の医療機関の3者をマッチングさせるコーディネート業務は、このシステムの中核事業であるにもかかわらず、公的な制度にならず必要経費が足りない。利用者が増加すればするほど、NPO法人の経済的負担は大きくなり事業の継続が困難な状況となりつつあった。

2019年1月、NPO法人理事長がこの窮状をTVで訴えていた。偶然これを視聴していた寺山理事長が、その直後に現場を訪問し実情を理解した。本来、この業務は地方自治体が行うか、又は、その経済的負担を担うべきである。しかし、それが実現するまでの間は、寺山財団が負担し、在住外国人の医療面での心配を和らげることに意義があると考えた。同年6月の財団総会において、「コーディネート業務にかかわる費用を寄付すること」を全員一致で採択し、本事業が始まった。